でん粉の製造工程に用いられるホソカワの装置を紹介します。
でん粉は、炭水化物の多糖類に分類され、炭水化物の中で最も重要なエネルギー源であり、穀類・イモ類に多く含まれます。
需要は年間約276万トン(農林水産省2011)で、甘味料、ビール、水産練製品、接着剤など多岐にわたって使用されています。生のでん粉を人は消化することができないため、消化できるように加工する必要があります。需要量の66%は糖化して甘味料として使用され、13%は加工して食品として使用されるほか、製紙や接着剤としても使用されています。一方、生でん粉は、エタノールの生産や紙加工などの工業用途でも使用されています。
加工(熱処理)でん粉の乾燥には、間接加熱型の連続乾燥機ソリッドエアーや直接加熱型気流式乾燥機ドライマイスタが使われます。
加工でん粉は、パン、ベーカリー食品、パスタ、製菓、肉製品など多くの食品に使われています。でん粉を食品に加えることで、食品の増粘、保型安定、保水、耐性付与、膨化、乳化保護安定、艶出し、食感改良などの効果が得られます。また、各種加工により、特性の改質・改善が行われ、機能性を付与・増強したさまざまな加工でん粉が開発されてきました。でん粉は、ジャガイモ、小麦、トウモロコシ、タピオカ、米などのでん粉含有製品から湿式プロセスで分離して生成します。
他の物質から分離して得られたでん粉は、45%程度の水分が残った状態に脱水した後、乾燥します。ドライマイスタを用いたシステムでは、15%程度の水分量まで乾燥し、サイクロンで製品回収して乾燥でん粉を生成します。
乾燥工程フロー
ドライマイスタ DMR-1H
でん粉は、熱および化学的なプロセスで性質が変化するため、処理手順が粉砕性と粘度に大きな影響を与えます。また、使用目的によって求められる製品粒子径も変化します。
糊化したでん粉は、菓子、パン、麺、アルファー化米、米菓などに利用され、老化したでん粉は春雨に利用されるなど、その性質に適した製品の原料となるため、プロセスの条件管理は重要なポイントとなります。
機能性を付与する工程では、タービュライザで水・油・添加物などを加えて混合し、直接加熱型乾燥機ドライマイスタで分散・乾燥して集塵機で製品回収した後、さらに間接加熱型乾燥機ソリッドエアーで反応させ、ACMパルベライザで粉砕して微粉製品が出来上がります。
生でん粉および加水・加熱処理でん粉を冷水にまぜたスラリーの粘度特性を下に示します。
でん粉の状態と粘度の変化
加熱処理でん粉の特性
機能性付加工程フロー
タービュライザ TCX
円筒容器の中で高速で回転する多数のパドルによって原料を攪拌して混合します。原料に液体の添加・分散が可能で、ジャケットからの加熱・冷却も可能です。ケーシングが観音開きのタイプもあり、容易に清掃でます。
下部に粉砕部、上部に分級部を備え、粉砕・分級と同時に下部から送り込まれた熱風によって乾燥を行います。投入された原料は機内で粉砕・分級・乾燥を繰り返し、目的の粒子径・含水率以下になったものだけが機外に排出され、後続の集塵機によって捕集されて製品となります。機内付着が少なく、強力な分散力、粉砕力を持ち、製品の粒子径や水分の調整が容易に行えます。
外周ジャケットからの加熱と高速回転するパドルの攪拌によって乾燥を行います。原料はパドルによって攪拌され、ケーシング内面に沿って回転しながら進んで行き、ジャケットからの熱が効率よく伝達されるため乾燥効率が高い点が特長です。
回転する特殊形状のハンマで原料を粉砕し、内蔵の分級機構によって過粉砕することなく目的の製品を得ることができます。分級ロータの回転速度変更で粒子径調整が可能で、分解清掃が容易です。
ソリッドエアー SJS54-18
ソリッドエアー SJS 内部
ACMパルベライザ ACM-10A
加工でん粉の分解性・溶解性を向上する造粒工程に対応した装置としては、フレキソミックスが適します。当装置を用いて加工でん粉に4%程度加湿することで減容と発塵防止が可能となります。
当装置は、ゴム製混合チャンバ内で混合ブレードが高速回転することで生じる強力な乱流によって、上部供給口から投入した粉体と二流体ノズルから噴霧した液体を瞬時に混合します。粉体と液体の比率によって湿潤性・分散性などの優れた特性を持つ造粒品を製造できます。
当社では、これら工程の他にもでん粉製品のバリエーションを増やす装置をそろえています。
また、でん粉副産物であるデキストリン、マルトース、ブドウ糖などの粉砕工程にも、当社装置が広く使われています。
フレキソミックス FXD-250
造粒工程フロー
バイトミックス VX-800
油添をはじめ、もろい原料の混合には、高せん断混合から無せん断混合の機能を持つバイトミックスが最適です。
ご質問・ご相談はお気軽にお寄せください