内容

品質保証と作業者保護

医薬品製造設備では、GMPなど一定の品質を保証するシステムであることが重要となりますが、同時に作業者に対する安全確保などの産業衛生が両立されなければなりません。機器操作における傷害や粉塵爆発防止などのほか、高活性薬物の場合は、ケミカルハザード対策が必要となります。

従来から、防塵マスクやエアラインスーツなど更衣による対応がとられてきましたが、最近ではより高活性な医薬品開発が進む中、薬害被害の事例なども契機となり、リスクマネジメントの観点から、産業衛生に関するガイドラインや規制が世界的に強化され続けています。

アイソレータ

粉体機器を封じ込めるため、汚染範囲を最小限に抑えることができ、粉塵曝露防止の面でも高い信頼性があります。一方、グローブ操作は機器レイアウトや作業性の制限を受けます。当社では、グループ会社の先駆的な開発から、この分野のアイソレータで多くの実績を持ちます。

GMPはもとより、さらに安全で信頼性が高く、人間工学に基づいて設計された操作性の良いアイソレータを各製薬会社のさまざまな要望に従ってカスタマイズして設計・製作しています。特に原薬の微粉砕工程は、乾燥した微粉を高濃度で処理することが多く、最もリスクが高いです。

豊富なアイソレータ実績

初期検討、治験薬製造から大量生産に至るまで各種の粉砕機構（機械式、気流式）および各バッチ処理サイズに対応したマルチ設備の実績も豊富に有します。グループ会社が有する粉砕機などの処理装置とアイソレータ技術を独自のノウハウで組み合わせることにより、ハンドリングに優れながらもOELを担保し、かつコストメリットのあるシステムを提供します。

下に粉砕機を内蔵したアイソレータのフロー例を示しました。主な構成部品は、吸気HEPAフィルタ、排気二重HEPAフィルタ、静圧自動制御機能付きブロワ、照明器具、洗浄器具、密閉状態を保持したまま取付け・取外し可能な容器、バルブなどです。

グローブは操作性が良くて洗浄しやすく、安全に交換が行えるよう当社独自のアイデアで設計・製作されています。万一、ひとつのグローブが誤って外れても機内粉塵が外部に曝露しないように設計されています。

ファインインパクトミル in アイソレータ

右に、数十ミクロンまでの微粉砕に適したファインインパクトミル100UPZの例を示します。

ファインインパクトミル100UPZ内蔵アイソレータ

ジェットミル in アイソレータ

右に数μmの超微粉砕に使用するジェットミルの例を示します。

軸封貫通部は、特にGMP性と安全を考慮した独自設計となっています。

システムは、適切な作業手順に沿って運転されねばなりませんが、目的とする粉体機器の運転方法を考慮した封じ込め設備の設計が必要です。

スパイラルジェットミル内蔵アイソレータ

カウンタジェットミル内蔵アイソレータ

アイソレータ設計・製作手順

安全かつ快適なシステム操作にはプロセス機器およびアイソレータの設計に充分な検討が必要であり、まず要望事項を網羅した図面を基に木型モックアップを製作します。この段階で作業性を確認した上で、最終設計に移ります。

アイソレータを用いることで汚染区域をアイソレータ内部のみに限定できるため、汚染区域の制限は格段に向上します。