医薬品の製造工程に用いられるホソカワの装置を紹介します。
医薬品成分の混合は長年バッチ方式で行われてきました。近年、業界内競合などから製造原価の低減が課題となっており、医薬会社にとって連続混合はその有効な手段と捉えられています。
製剤工程においてバッチ混合を連続混合に変更するには以下に挙げる、さまざまな課題を解決しなければなりません。
・バリデーション
・PAT(プロセス分析技術)
・製品保証方法
・既存設備への新プロセスの組込み
・スケールアップ
・運転開始時および品替時の製品ロス規格外品の最小化
モデュロミックスはこれらの課題を全て克服し、医薬品製造工程での連続混合を実現させました。
モデュロミックスと制御盤
モデュロミックス(MMX)は、原料の機内滞留時間は極めて短く、製品は強制攪拌力の多寡にかかわらず完全混合品として排出されます。工程の設計は、柔軟になされるべきで、潤滑剤であるステアリン酸混合とAPI混合では適切な攪拌力は異なります。この結果フローシートにあるように複数のモデュロミックスが直列に組み合わされます。
このフロー(下図)では、3種の原料(1,2,3)がモデュロミックス1号の第一入口に供給されます。必要に応じ4種目の原料4を第二入口から供給することもできます。これら4種の原料は1号機でアニュラーミキシング原理で効率的に高せん断混合されます。潤滑剤は1号機の第三入口から供給されます。モデュロミックス1号機の出口は、モデュロミックス2号機の第一入口に直結しています。この2号機では潤滑剤混合のため、弱いせん断力で混合します。混合品は特殊設計されたPATシュートを通って排出されます。このシュートには連続混合品の品質管理のために、さまざまなセンサーが組み込まれます。(NIR:近赤外線、ラマン分光など)
このNIRが品質評価手法としてFDAが認めたことが医薬品連続混合を実現させた大きな要因です。
モデュロミックスフロー
モデュロミックス
高攪拌力のため粉の機内滞留時間が極めて短い点が特長です。高攪拌力にもかかわらず、粉砕はされておらず、原料の粒子径分布には処理前後で変化がないことは幾度ものテストで確認されています。短滞留時間のため、運転開始時、品替時、緊急停止時の規格外品の量を最少化できます。
微量処理(<1kg/h)の場合でも適正な供給機を選ぶことで、5秒単位のRSD(相対標準偏差)は、5%以内に収まります。このRSD値はモデュロミックスを直列多段にすることで更に低くなります。
連続混合は、混合機単体の問題ではなくシステムの問題として捉えられるべきです。システムを構成するのは以下の項目になります。
混合機本体は小型(径130mm×300mm長)であり、研究段階から治験薬、生産システムまで、同一機械で処理できます。
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